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下呂温泉 水明館 |
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岐阜県・下呂温泉を代表する老舗旅館「水明館」に宿泊しました。 |
飛騨川沿いから望む水明館。写真に見える3棟はいずれも水明館の建物で、それぞれの館を行き来できる、想像していた以上に大きな温泉宿です。正面玄関へ回ると、そのスケール感に加えて、老舗旅館らしい風格も感じられます。3つの館がつながる水明館は、館内も見どころがたくさん。まずは正面玄関から中へ入ってみます。



ロビー・ラウンジ
館内へ入ってまず印象に残ったのが、この広々としたロビーラウンジ。ゆったりとソファが並ぶ開放的な空間で、大きな窓の向こうには池や滝を配した日本庭園が広がっています。木を基調とした上品な雰囲気と庭園の緑がよく調和し、窓辺に座って庭園を眺めながら、ゆっくりと時間を過ごしたくなるような空間でした。



客室
今回宿泊したのは、畳の和室にリビングスペースを備えたゆとりのある客室。和室の隣にはソファやテーブルが置かれた洋間があり、畳でくつろぐのはもちろん、ソファに腰掛けて過ごすこともできます。和と洋のスペースがゆるやかにつながった、使い勝手のよい客室でした。


そして、この客室で特に印象的だったのが窓からの眺め。眼下を流れる飛騨川の向こうには下呂温泉の街並みが広がり、その背後を緑豊かな山々が囲んでいます。先ほど外観を眺めた飛騨川沿いの景色を、今度は客室から見渡すことができました。温泉街と川、山々が一つになった下呂らしい風景を、部屋でくつろぎながら楽しめます。


温泉
水明館では、山水閣・飛泉閣・臨川閣の3つの館それぞれに趣の異なる大浴場があり、宿泊者は館内を巡りながら3か所すべての温泉を楽しむことができます。木の温もりと開放感のある「下留の湯」、岩や石垣に囲まれた風情ある「野天風呂」、そして下呂の街並みを見渡せる「展望大浴場」と、それぞれ雰囲気が大きく異なるのも魅力です。
そして何より印象に残ったのが、その湯触り。お湯に浸かると肌がつるつるするような、とてもなめらかでやさしい感触があり、これまで入った温泉でもなかなか味わったことのない心地よさでした。下呂温泉は草津・有馬と並ぶ「日本三名泉」のひとつ。実際に湯に浸かってみると、その名湯ぶりを肌で実感できる温泉でした。
食事
今回の夕食と朝食は、どちらも飛泉閣1階のダイニング「常磐」でいただきました。木を基調とした和の趣を感じる店内には、やわらかな灯りの丸い照明が並び、窓の向こうには竹林や緑豊かな庭を望むことができます。ゆとりをもってテーブルが配置され、庭の緑を眺めながら、ゆったりと食事を楽しめる空間でした。




館内施設
館内ツアー
水明館でぜひ参加してほしいと思ったのが、毎日17時から行われている館内ツアーです。所要時間は約40~45分で、予約不要・無料で参加できます。大宴会場や能舞台をはじめ、絵画、彫刻、陶板などを案内してもらいながら巡ります。実際に参加してみると、普段宿泊しているだけでは気づかない場所や作品が次々と登場し、見応えのあるツアーでした。
ちなみに私たちは17時30分から夕食の予定でツアーと時間が重なっていましたが、スタッフの方に確認したところ、ツアー終了後からの夕食で大丈夫とのことでした。
17時になると、いよいよ館内ツアーがスタート。まずは1階から2階へと続く長いエスカレーターを上ります。両側には色鮮やかな花が並び、この先への期待が自然と高まります。そして途中で後ろを振り返ると、目に飛び込んできたのが壁一面を飾る大きな陶壁。ツアーが始まって早々、思わず見入ってしまう光景でした。


館内ツアーで特に圧倒されたのが、臨川閣1階にある500畳もの大宴会場「春秋の間」。中へ入ると、視界いっぱいに畳が続く光景はまさに壮観で、その広さには思わず驚かされました。そして、もうひとつ目を奪われるのが、正面の舞台を彩る大きな緞帳。岐阜県出身の日本画家・長縄士郎画伯による「四季の彩」をもとに、京都の龍村美術織物が制作したもので、四季の草花が色鮮やかに描かれています。500畳という圧倒的な広さだけでなく、こうした芸術作品まで楽しめるところに、水明館の奥深さを感じました。


500畳の「春秋の間」に続いて、こちらもその大きさに圧倒された大宴会場「朝陽の間」。広さは1,080㎡、天井高は6.5mもあり、いくつもの大きなシャンデリアが並ぶ光景は実に華やかです。正面には、岐阜県出身の日本画家・加藤東一画伯の原画をもとに、約1年をかけて制作された大きな緞帳。広大な空間に豪華な照明と芸術作品が組み合わさり、先ほどの畳敷きの「春秋の間」とはまた違った華やかさに目を奪われました。

そして、次に案内されたのが、臨川閣1階にある能舞台「石橋の間」。広い会場の正面に堂々と構える本格的な能舞台は、旅館の中にいることを忘れてしまいそうな佇まいです。舞台は観世流能楽師・関根祥六師の監修によるもので、正面の鏡板には樹齢500年の木曽檜を使用。そこに描かれた老松と若竹は、林功氏が孔雀石を砕いた絵具で描いたものだそうです。反対側へ目を向ければ、大きな窓の向こうには庭の緑が広がり、先ほどまでの華やかな大宴会場とはまた趣の異なる、日本の伝統美を感じる空間でした。



大きな施設だけでなく、こんな珍しいものにも出会いました。臨川閣1階に展示されている「菊花石」です。黒っぽい岩肌に浮かぶ白い模様は、まるで菊の花が咲いているよう。驚くのは、これが人の手で彫られたものではなく、自然の作用によって生まれた模様だということです。岐阜県根尾で産出する「根尾谷の菊花石」は、国の特別天然記念物にも指定されています。自然がつくり出したとは思えないほど見事な模様で、近くでじっくり眺めたくなる不思議な石でした。

館内には、著名な画家による絵画も随所に飾られています。なかでも印象に残ったのが、岐阜県出身の日本画家・長縄士郎画伯の「秋」。右に描かれた舞妓の美しさを際立たせるため、左の見習い「半玉」の肌をあえて黒く描いているそうです。近くで見ると、絵具が幾重にも塗り重ねられ、画面にははっきりとした凹凸があり、写真で見る以上の迫力を感じました。
もう一枚は、中島千波画伯の「苗代桜」。青い夜空に浮かぶ月と、満開の桜が印象的な作品です。こうした作品について案内を聞きながら巡ると、それまで何気なく通り過ぎていた館内の絵画も、また違って見えてきました。

長縄士郎画伯「秋」

中島千波画伯「苗代桜」
絵画だけでなく、館内には陶芸や彫刻の名品も随所に展示されています。鮮やかな青がひときわ目を引くのは、人間国宝の陶芸家・加藤卓男氏によるタイル壁画「泉郷に憩う」。一度途絶えたとされる「ラスター彩」を復元した技法が使われ、深いペルシャンブルーと繊細な絵柄が印象に残ります。
もう一つは、長崎平和公園の「平和祈念像」で知られる彫刻家・北村西望氏の「自由の女神」。馬上の女性が両腕を大きく掲げる姿には躍動感があり、立体作品ならではの迫力を感じます。

加藤卓男氏「泉郷に憩う」

北村西望氏「自由の女神」
館内を巡り、最後はツアーが始まったエスカレーター上の廊下へ戻ってきました。正面奥に見えるのは、スタートしたときに振り返って眺めた大きな陶壁です。大宴会場や能舞台、菊花石、絵画、陶芸、彫刻と次々に巡り、館内にこれほど多彩な見どころがあることに改めて驚かされました。

館内を彩る廊下
3つの館からなる広い水明館では、館内を移動する廊下にもそれぞれ趣があります。和傘を使った照明が並び、窓越しに庭園を眺めながら歩く廊下や、石畳を思わせる床に竹を取り入れた落ち着いた通路など、場所によって雰囲気もさまざま。目的の場所へ向かうだけの廊下にも和のしつらえが施され、広い館内を歩いて回ること自体が楽しみになりました。



庭園
ロビーラウンジから眺めていた日本庭園には、館内から外へ出て、池のまわりを歩くこともできます。滝の流れる池には色鮮やかな鯉が泳ぎ、木々や石灯籠に囲まれた景色は、館内から眺めていたときとはまた違った趣。池のほとりを歩きながら庭園を間近に眺める、そんな時間も水明館で印象に残ったひとときでした。


売店
館内には、お土産選びに便利な売店もあります。店内には下呂温泉や飛騨の銘菓、特産品などがずらりと並び、品ぞろえも豊富。スペースも広く、旅の最後にあれこれ見比べながら、ゆっくりお土産を選ぶことができます。

周辺観光
天領酒造
周辺観光で天領酒造に立ち寄りました。今回は水明館からタクシーで向かいましたが、電車ならJR下呂駅から高山本線で飛騨萩原駅へ向かい、駅から歩いて訪れることもできます。
歴史を感じる建物の軒先には、酒蔵らしい大きな杉玉が飾られていました。店内には天領の日本酒がずらり。酒蔵見学をしたあとは試飲も楽しみました。



下呂温泉合掌村
翌日は、水明館から下呂温泉合掌村へ。せっかくなので温泉街の景色を楽しみながら、歩いて向かいました。
川沿いの柳や温泉街らしい風景を眺めながら歩けるのも楽しいところ。ただし、合掌村に近づくにつれて上り坂が続くため、徒歩で向かう場合は少し体力が必要です。

下呂温泉合掌村に到着。
茅葺き屋根の合掌造りが緑の中に点在し、村内を歩いているだけでも昔の山里に入り込んだような雰囲気があります。大きな合掌造りを間近に眺めながら、のんびり散策を楽しみました。





